なぜUXという言葉に惑わされ疲れてしまうのか

更新日:2016年8月13日

意味不明なことばかり言ってるUXデザイナー達の代わりに「UXデザインとは何か」を端的に説明しよう
『手を動かさない』webディレクターが、事業会社でUXデザイン的な仕事をするということ
なんだか盛り上がってますね。

私も個人的にUXデザイナーとかUXマンっていう言葉に違和感を覚える人間の一人で、UXデザインとは何か、そしてどうあるべきなのかというのは未だに答えが出ません。

私と「UX」との出会い。

スマホの普及が進む中、私はWebデザイナーとしてソーシャルゲームの会社で働いていました。当時、ソーシャルゲーム業界はコンプガチャ問題などがあり、本来であるならば射幸性よりも「楽しい」という気持ちでユーザーを惹きつけてお金をいただくべきではないかという議論がなされていました。儲けることに偏っていたところから、大きな揺り戻しが起こっていたんじゃないかと思います。そういったなかで「UX」という言葉は最適な言葉としてもてはやされていました。

どういったシーンでユーザーがゲームに触れるのか、初回プレイ時に何時間触れてもらうと継続率があがるのか、1回でも課金すればその後の課金額に大きな影響にもたらす…など大量のユーザーの行動を分析し、そこから見えてきた仮説を検証・改善していくことでユーザーが増えたり売上が上がったりしていました。確かに増えていました。でも本当にユーザーが良い体験をしたか、幸せになってもらえたのかはわかりませんでした。ユーザーと会うこともなかったし、ユーザーがどんな気持ちでゲームをプレイしているかまではわからなかったのです。

フレームワークアレルギー

UXデザインを検討する上で用いられる様々なフレームワークがあります。カスタマージャーニーマップ、リーンキャンバス、デプスインタビューなどなど…。UXデザインについて「わかっている人」からこれらを突然見せられ、やってみようと言われます。素直な人はいいんです、私はひねくれものなので「なんでこんなのに時間かけるの?早くコード書いて作っちゃおうよ」と思っていました。いやいやフレームワークをなぞる、いやいや使っているから作ったカスタマージャーニーマップは見ない。フレームワークって押し付けじゃいけないんですよね、プロセスを知って納得感がある中でフレームワークを使わなきゃ意味をなさないと思うんです。私はフレームワーク嫌いになり、一周回って事業づくりというものを体験して、ああサービスを作るのにはプロセスをもっとよくしていかなきゃいけないと理解し、プロセスを見なおした上で、再度フレームワークの勉強をしました。プロセスの大切さって若いと気づけないと思うんですよね。それに気づかせてくれるUXデザイナーに出会いたかったけど、私は出会えませんでした。

UXデザインは組織から…ってそんなのみんな無理でしょ笑

UXを考えるには組織を変えなくちゃ、的な大きな話ってあると思うんです。でも大抵無理ゲーですよね。これ、UXの勉強会とか行ってみるとたびたび質問であがっていて「どうやったらUXをみんなに理解してもらえますか?」とか「どうやったら組織から変えられますか」みたいなのを聞きます。で、大体最終的には「そんな組織やめちゃえ」みたいな乱暴なところに落ち着いたりしてて。なんか納得感ないんですよね。

UXっていう言葉に振り回されてるとき、そこにユーザーはいない

なんか色々思うところはあるのですが、UXって言葉に振り回されてる時って大体そこにユーザーがいない気がするんですよね。アカデミックなUXデザイン論の「こうあるべき」みたいなのに振り回されてたり、上司のUXは「こうあるべき」みたいなのに付き合わされてたり。ユーザーに良い体験をしてもらいたいって考えていたのに、いつのまにか広告をいかに見せるかとか課金をいかにさせるかみたいな話になってたり。インターネットのサービスがやたら無料で広告モデルなのもよくないんですよね、誰向いて作るかが定まらなくなるし。結局、誰をどうやって幸せにしたいかって話だと思うんです、UXってやつは。

ぼちぼちUXデザインはこうあるべきとかこうするべきって議論は飽きてきたし疲れてきちゃったなって最近思うんです。ぼちぼち新しい言葉や考え方が出てきてもいいのかなって思います。でもまたそれも議論にしかならないのかなぁ。何でもいいんですけど、ユーザーに本当に喜んでもらえる仕事がしたいですね。

書き手:小島 芳樹
Webやスマートフォンアプリによるサービスを開発・提供する会社で働いています。
Twitter: @yoshikikoji

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