インタビュー

俺がテクニカルクリエイターだ!(首都大学東京 小宮慎之介さん)

2016-2-4

デザイン×テクノロジーの教育が、日本でも多くの教育機関で取り入れられつつある。本インタビューでは大学でデザインとテクノロジーを学びながら、積極的にIT企業のインターンに参加している小宮慎之介さんに、現在どんなことを学んでいるのか、将来はどんなふうになっていきたいのかを尋ねてみた。

komiya 小宮 慎之介さん
1992年12月27日生まれ。東京都出身。2015年首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコースを卒業後、同大学の大学院に進学。現在在学中。昨年12月にはデザインとテクノロジーで地域を活性化することをビジョンとした株式会社DesignCatを設立。同社CEO。デザインをはじめとし、フロントエンド、バックエンド、ハードウェアまで幅広い設計・実装を行っている。
 

デザインとテクノロジーを学ぶイマドキ学生事情

 

1374864_436032559832217_819860579_n今回、テクニカルクリエイター.comを始めるにあたって、デザイン×エンジニアリング両方やってる人ってことで真っ先に思い浮かんだのが小宮くんでした。出会った時からXcodeをいじってアプリを作ったり、SketchでUIを作っていたり、映像を作っていたりとマルチになんでもこなしてすごいなぁ…と思っていました。どうぞ今日はよろしくお願いします!
 
さっそくなんですが、卒業した大学と今通っている大学院ではどんなことをやってるんですか?

komiya大学はデザイン学科で学部時代はプロダクトデザインからメディアデザインまで幅広く学習していました。学部時代の研究室はハードウェアデザインの研究室でLOCKダンス用の手袋型のデバイスを作ったりしてました(笑)基本的にはハンダ付けとプログラミングが多かったですが、デザイン学科の意地もあり、できるだけ美しく作ろうと心がけてましたね。
 
 修士の現在は研究室を変えて(同じ学科ですが)ネットワークデザインの研究室に所属しています。自身の研究ではデザイン思考を用いて病院の患者さんのためのデバイス、ツールを開発しています。具体的には、肝炎の患者に肝性脳症という病気があるのですが、症状として酔っ払ったように歩いてしまうことがあり、その症状を病院内で早期発見できるためにはどうしたらよいかを探っています。
 
 研究室全体としてはかなりベンチャーのような環境で、多くのプロジェクトが動いています。GIS(地理情報システム)を使ってデータビジュアライゼーションをするものが多いですが、様々な自治体や企業と連携して行っております。実際にPC上だけでものを作るのではなく、現地に出向いて現状の把握をしたり、ヒアリングをしてプロダクトを製作しています。

1374864_436032559832217_819860579_n「デザイン学科」っていう名前なのでグラフィック的なことを想像していたけどずいぶんと違う感じ…。デザイン思考を用いて社会課題を解決するというアプローチは今どきだなという印象です。自治体・企業連携しながらの研究も結構やりがいがありそうですね。
 
大学以外にも結構いろんなところでアルバイトやインターンをやっていたと思うんですが…

komiyaアルバイトは3年生までコンビニとラスク屋さんで時給850円で働いてました(笑)色々な企業のインターンに行き始めたのは4年生になってからで、というのも3年生まではサークルや課題に追われて時間が取れなかったので、4年生になった時に自分のスキルや外の世界とのギャップを全く知らずに過ごしていた自分に不安を覚えて応募してみたのがきっかけです。
 
 基本的に僕がインターンを選ぶ基準としては会社の中を見てみたいところを優先して選んでいました。その中で日程を調整して被らないところの面接を受けた感じです。4年生の夏はサイバーエージェント(UIデザイン)、Goodpatch(デザイン)、リクルートホールディングス(エンジニアリング/デザイン)に行きました。この時はエンジニアリングとデザイン力の両方を底上げしたかったので両方の立場を夏の間に経験できるようにと思って選んだのを覚えています。その後コロプラとGoodpatchに長期のインターンとして、約一年ほど参画させていただきました。
 
そして、去年の夏はその時見ることのできなかった企業を見てみることにしました。そのときはエンジニアリング中心に力を付けたかったので、Yahoo(デザイナー)、リブセンス(エンジニア)、DeNA(エンジニア・結果としてUIデザインも)に参加しました。
 
やはりインターンとして参加してみないと企業の中まではなかなか見られないので、とても良い経験だったと思います。もっと早くから行けばよかったと後悔してます、今の三年生なんかはとても羨ましいですね(笑)インプットも多くアウトプットする場も多いので自分の実力の確認にもなりますね。

1374864_436032559832217_819860579_n大きい会社から、創業数年のスタートアップまで結構いろんなところに出入りしてるんですね。イマドキ感あるなぁ(笑)
 
 ここ数年、企業も学生への入り口を今までのやり方とは違う形に変えてきているので、学生が企業に入って学べる機会もグッと増えてきているんじゃないでしょうか?

komiya特にIT・Web業界はインターンに積極的なので、教育の面でも良い流れだと思います!

テクニカルクリエイターの卵が持っているスキルとは?

1374864_436032559832217_819860579_n学校でも企業でも、様々なことにチャレンジしているみたいですが、得意なこととか仕事上で役立っているスキルを教えてもらってもいいですか?

komiya得意なこと、まず趣味から。最近はカメラやロードバイクを主にやっています。この前は富士エコサイクリングで120km走ってきました!でも一番得意なのはポケモンですね。Pokemon Goがもうすぐ始まりますが、本気でてっぺん狙いに行くつもりです。FacebookにTeam Rocket Go(ロケット団 for Go)というPokemon Goのためのロケット団を設立したので是非この機会に皆さんに今から参加して欲しいです!イベントとかやりたいので。
 
で、スキルでしたね…(笑)
エンジニアリングのスキルはiOSはObjective-Cから入りましたが、Swiftを最近はよく使います。
WebはHTML、CSS、JavaScriptのフロントエンド側が得意で、PHP、Rubyは少しできますがあまり得意ではないです。なので最近はバックエンドをいじれるようにRuby on Railsの勉強をしています。
あとはUnityC#を少しと、去年から研究で使っていた関係でArduinoとopenframeworks(C++)もある程度使えます。
デザイン面では最近はSketch3を使うことが多くなりました、Illustratorはパスで細かいことをするとき、Photoshopは写真加工の際に使うようになりましたね。Sketch3便利です!!ただPhotoshopのSketch3みたいな機能が使いやすかったらまた乗り換えるかもしれません。あとは動画製作もたまにするのでPremiereとAfterEffectsも使えます、螺旋丸作って遊んだりもしてました。
 
ちょっと前からJARVISとR2-2実物大を作りたいと思っていたらザッカーバーグに先を越されそうで…今年JARVIS作るとか言ってるのでそれより早く一緒に作ってくれる人探してます(笑)R2-D2は今3Dプリンタで実物大を出力中です、RasberryPiで動かしたいと思ってます。

1374864_436032559832217_819860579_nえ?R2-D2?実物大で?

komiyaそうです!パーツごとに分けて3Dモデリングしてて。あれだけ大きさがアレばRasberryPiとかじゃなくてPCとかまるごと入りそうじゃないですか。電源をどうやって供給するかが問題なんですけど…。

1374864_436032559832217_819860579_n面白そう(笑)エヴァみたいにケーブルとか付けるのかな…
今までそういったスキルを使って作ったものって公開されていたりしますか?

komiyaポートフォリオサイトがあるんですが、現在は絶賛工事中です。サイトの右上の地球からは今僕がどこでどんな投稿をしているかを地球規模で確認できるコンテンツを用意しています。僕のストーカーしたい人にはもってこいのコンテンツですね(笑)
 
あとは先日行われたMashupAward11でIoT部門賞を頂いた作品「Peta Peta」があります。
これはスマホとインソール型デバイスを用いて行う鬼ごっこで、鬼ごっこ界に革命を起こしました!MAが終わった今も開発を続けており、自治体や企業のアイスブレイクや福利厚生などで使いたいという声を頂いています!

Peta Peta 頭脳戦おにごっこ Peta Peta
Mashup Awards 11でIoT部門賞を受賞。インソール型デバイスとスマートフォンを連動した頭脳戦SFおにごっこというコンセプトだそうです。
 

テクニカルクリエイターとして何ができるか、未来の話

 

1374864_436032559832217_819860579_nブラウザ上で動くものからIoT的なものまで色々な技術に触れているようですが、今後身につけたいと思っているスキルはありますか?

komiya今後はデザイン、エンジニアリングの底上げはしつつも、テクニカルクリエイターとしては会社やプロジェクト全体を俯瞰する事も必要になってくるのかなと思っています。ですから最近はプロジェクトマネージャやプロダクトマネージャ、経営についての勉強もちょこちょこしてます。学生って一緒にプロジェクトやっても報酬がないのもあって、それぞれ向かいたいベクトルが違いすぎてまとめるの大変なので…。

1374864_436032559832217_819860579_n卒業後も何かに特化するというよりはマルチに色々やってみたいという感じでしょうか?

komiyaそうですね、一応技術の軸は持っていくつもりですが、その軸を中心にマルチに広がれたら良いと思っています。

1374864_436032559832217_819860579_nでは卒業後、5年後や10年後はどんな風な仕事をしていたいと考えていますか?

komiya個人としてはITとデザインで世界を良くすることができると考えているので、何か社会貢献ができるプロダクトやサービスを作っていたいと思っています。そして僕自身がモデルになって同じような人たちが出てきてくれると嬉しいなと思います。モデルになれるように頑張ってます。そんな集団でチームを作ってなにかを成し遂げられているとカッコイイと思いませんか?

1374864_436032559832217_819860579_nなるほど…集団ということは、会社を作ってみたいという考えもあるんでしょうか?

komiya実は先日、会社を作りました。研究室プロジェクトでの地域の活性化や地方自治体との関わりを通じて、「今自分の得意分野を活かしてまちの課題が解決できるのではないか?」と考え、IT×デザイン×地方創生をコンセプトにDesignCatという会社を作ったんです。catというのはUNIXコマンドのcatコマンドから取っており、連結する(catenate)という意味があります。デザインの力で人と人や様々なものをつなげていきたいという思いを込めています。現在のメンバーは全員同じ研究室のメンバーなのですが、皆同じ研究室というのもあり、同じ課題を解決することに向けて頑張っています。

1374864_436032559832217_819860579_n地方創生は人口減少が進んでいる日本において取り組まなければならない大きな課題ですね。ぜひテクノロジーとデザインの力、そして若い力であらゆる問題を解決していってください。本日はどうもありがとうございました!

komiyaありがとうございました!

テクニカルクリエイターが生まれる「スマホネイティブ世代」

 

今回のインタビューを通じて感じたのは、最近の大学生は身近なところにスマホやIoTの技術に触れる機会があり、また学ぶチャンスもたくさんあるということだ。今後「スマホネイティブ」と呼ばれる世代がプロダクトの現場に参画し、活躍するシーンも増えていくだろう。そして日本の若い世代はこれから人口減少・少子高齢化社会という問題に立ち向かわなければならない。大きな課題が生まれたとき、そこに新たな解決策やアイデアが生まれ、その過程でデザインとテクノロジーを融合させた「テクニカルクリエイター」という人材が育っていくのかもしれない。

 
書き手:小島 芳樹
Webやスマートフォンアプリによるサービスを開発・提供する会社で働いています。
Twitter: @yoshikikoji