デザイン×テクノロジーの教育が、日本でも多くの教育機関で取り入れられつつある。本インタビューでは大学でデザインとテクノロジーを学びながら、積極的にIT企業のインターンに参加している小宮慎之介さんに、現在どんなことを学んでいるのか、将来はどんなふうになっていきたいのかを尋ねてみた。
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小宮 慎之介さん 1992年12月27日生まれ。東京都出身。2015年首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコースを卒業後、同大学の大学院に進学。現在在学中。昨年12月にはデザインとテクノロジーで地域を活性化することをビジョンとした株式会社DesignCatを設立。同社CEO。デザインをはじめとし、フロントエンド、バックエンド、ハードウェアまで幅広い設計・実装を行っている。 |
目次
デザインとテクノロジーを学ぶイマドキ学生事情
さっそくなんですが、卒業した大学と今通っている大学院ではどんなことをやってるんですか?
修士の現在は研究室を変えて(同じ学科ですが)ネットワークデザインの研究室に所属しています。自身の研究ではデザイン思考を用いて病院の患者さんのためのデバイス、ツールを開発しています。具体的には、肝炎の患者に肝性脳症という病気があるのですが、症状として酔っ払ったように歩いてしまうことがあり、その症状を病院内で早期発見できるためにはどうしたらよいかを探っています。
研究室全体としてはかなりベンチャーのような環境で、多くのプロジェクトが動いています。GIS(地理情報システム)を使ってデータビジュアライゼーションをするものが多いですが、様々な自治体や企業と連携して行っております。実際にPC上だけでものを作るのではなく、現地に出向いて現状の把握をしたり、ヒアリングをしてプロダクトを製作しています。
大学以外にも結構いろんなところでアルバイトやインターンをやっていたと思うんですが…
基本的に僕がインターンを選ぶ基準としては会社の中を見てみたいところを優先して選んでいました。その中で日程を調整して被らないところの面接を受けた感じです。4年生の夏はサイバーエージェント(UIデザイン)、Goodpatch(デザイン)、リクルートホールディングス(エンジニアリング/デザイン)に行きました。この時はエンジニアリングとデザイン力の両方を底上げしたかったので両方の立場を夏の間に経験できるようにと思って選んだのを覚えています。その後コロプラとGoodpatchに長期のインターンとして、約一年ほど参画させていただきました。
そして、去年の夏はその時見ることのできなかった企業を見てみることにしました。そのときはエンジニアリング中心に力を付けたかったので、Yahoo(デザイナー)、リブセンス(エンジニア)、DeNA(エンジニア・結果としてUIデザインも)に参加しました。
やはりインターンとして参加してみないと企業の中まではなかなか見られないので、とても良い経験だったと思います。もっと早くから行けばよかったと後悔してます、今の三年生なんかはとても羨ましいですね(笑)インプットも多くアウトプットする場も多いので自分の実力の確認にもなりますね。
ここ数年、企業も学生への入り口を今までのやり方とは違う形に変えてきているので、学生が企業に入って学べる機会もグッと増えてきているんじゃないでしょうか?
テクニカルクリエイターの卵が持っているスキルとは?
で、スキルでしたね…(笑)
エンジニアリングのスキルはiOSはObjective-Cから入りましたが、Swiftを最近はよく使います。
WebはHTML、CSS、JavaScriptのフロントエンド側が得意で、PHP、Rubyは少しできますがあまり得意ではないです。なので最近はバックエンドをいじれるようにRuby on Railsの勉強をしています。
あとはUnityC#を少しと、去年から研究で使っていた関係でArduinoとopenframeworks(C++)もある程度使えます。
デザイン面では最近はSketch3を使うことが多くなりました、Illustratorはパスで細かいことをするとき、Photoshopは写真加工の際に使うようになりましたね。Sketch3便利です!!ただPhotoshopのSketch3みたいな機能が使いやすかったらまた乗り換えるかもしれません。あとは動画製作もたまにするのでPremiereとAfterEffectsも使えます、螺旋丸作って遊んだりもしてました。
ちょっと前からJARVISとR2-2実物大を作りたいと思っていたらザッカーバーグに先を越されそうで…今年JARVIS作るとか言ってるのでそれより早く一緒に作ってくれる人探してます(笑)R2-D2は今3Dプリンタで実物大を出力中です、RasberryPiで動かしたいと思ってます。
今までそういったスキルを使って作ったものって公開されていたりしますか?
あとは先日行われたMashupAward11でIoT部門賞を頂いた作品「Peta Peta」があります。
これはスマホとインソール型デバイスを用いて行う鬼ごっこで、鬼ごっこ界に革命を起こしました!MAが終わった今も開発を続けており、自治体や企業のアイスブレイクや福利厚生などで使いたいという声を頂いています!
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頭脳戦おにごっこ Peta Peta Mashup Awards 11でIoT部門賞を受賞。インソール型デバイスとスマートフォンを連動した頭脳戦SFおにごっこというコンセプトだそうです。 |
テクニカルクリエイターとして何ができるか、未来の話
テクニカルクリエイターが生まれる「スマホネイティブ世代」
今回のインタビューを通じて感じたのは、最近の大学生は身近なところにスマホやIoTの技術に触れる機会があり、また学ぶチャンスもたくさんあるということだ。今後「スマホネイティブ」と呼ばれる世代がプロダクトの現場に参画し、活躍するシーンも増えていくだろう。そして日本の若い世代はこれから人口減少・少子高齢化社会という問題に立ち向かわなければならない。大きな課題が生まれたとき、そこに新たな解決策やアイデアが生まれ、その過程でデザインとテクノロジーを融合させた「テクニカルクリエイター」という人材が育っていくのかもしれない。