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「デザイン×テクノロジー」のスキルを持つ、「テクニカルクリエイター」とは何か?
2016年の“職種名バズワード”になる可能性を秘めた言葉を見て、ここ数年で注目を浴びた職種を振り返ってみた。「CTO」、「グロースハッカー」、「技術顧問」などいろいろあるが、最も「テクニカルクリエイター」に近いのは、「フルスタックエンジニア」だろう。
フロントエンドとサーバサイドの両軸を担えるスキルを持つ「フルスタックエンジニア」。デザイン以外の領域をカバーでき、1人で複数のタスクをこなす点については「テクニカルクリエイター」と同意義だ。
そこで、僕が知る限りでも数少ない「フルスタックエンジニア」である株式会社Arrvis(http://www.arrvis.com/)の代表取締役・伊豆丸祐恭くんに話を聞いてみることにした。
彼は新卒で入社したSIerを経て、僕と同じgloopsに転職。その後、フリーランスを経て起業を経験している人物。
そんな彼から見るテクニカルクリエイターへの印象や今、現場で必要とされているエンジニアとデザイナーのスキルについて。そして、どうすればテクニカルクリエイターを目指すことができるのか?などの疑問をぶつけてみた。
「デザイン×テクノロジー」をフルスタックエンジニアの目線から紐解く。
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伊豆丸 祐恭 1987年1月29日生まれ。埼玉県出身。2009年ソーバル株式会社入社。Web・オープン系エンジニアとして従事。2013年株式会社gloops入社。ヒットタイトル『欧州クラブチームサッカーBEST☆ELEVEN+』のチーフエンジニアを務める。同社退職後、フリーランスとして独立。2014年 株式会社ファンスパイア入社。執行役員CTOに就任。2015年 株式会社Arrvis設立。代表取締役に就任。 |
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聞き手:小島 芳樹 プロデューサー。Webやスマートフォンアプリによるサービスを開発・提供する会社で働いています。 Twitter:@yoshikikoji |
伸びる市場にアンテナを張る男
「広く浅い」には訳がある
俺が難点だと思いながらも、「浅く広い」を貫く理由は、結局市場が安定するということがないからなんですよ。例えば、「iOSが今後、30年仕事があります」という状況ならいいんだけど、そんなわけないでしょ?市場が変化するから、自分も変化し続ける必要がある。だから、いろいろできるのはいいんだけど、一人で全部持つのは嫌なんだよね。
フリーランスという道が鍵を握っている?
ペライチ(https://peraichi.com/)の小川裕之さんもフリーランス時代があって、DTPとかWebデザイン専門からディレクションや開発もやるようになったって。フリーランスになると追い込まれるし、技術も選べるから自分を磨くには本当にいいかも。
結局、俺がフルスタックになったのは、受注金額にも関連しているんだよね。例えば、お客さんは普通なら2人のエンジニアに依頼する仕事を1人で済めば嬉しいし、こっちも通常の単価よりも高く受注できればそれに越したことはない。お互いのメリットが重なることを考えると、1人でできる幅を広げるのは大事だって思ったのよ。
エンジニアからデザイナーに歩み寄る方法
だから、エンジニアの人がデザインを吸収したいのであれば、「非エンジニアのデザイン入門」みたいな記事を読むよりもとにかく、画面を見ることをお勧めしますね。
フルスタックエンジニア=テクニカルクリエイター!?
Flashをやっていた人って、Web開発か映像にシフトしたと思うんだけど、中にはiOS、Android開発のキャリアを歩んだ人もいると思う。ここが「テクニカルクリエイター」の素養を一番秘めてる気がするなぁ。
テクニカルクリエイターが持つ、2つの働き方
答えは出ないが、理屈は分かった
伊豆丸くんと焼肉を食べながら「テクニカルクリエイター」について話したわけだが、結局定義付けはできなかった。だが、分かったことがある。
それは、フリーランスに転じるまではいかなくても、自分でとにかく経験を積む大切さだ
「テクニカルクリエイター」を目指す人がいるのであれば、開発・デザインについてとにかく作って学んでみること。これが最大の近道になるのかもしれない。
文・撮影/川野優希(ワグナー)@ougaan21